本を読みはじめると
止めどきがわからなくなり
読み切るまで
何もできなくなる
人といても
本の続きが気になって上の空になる
だから
最近は予防策に
3冊くらいの本を同時進行で読んでいる
気が分散されていい
おすすめ!
小さい頃
鍵っ子だったわたしは
近所の本屋が
図書館だった
厳密にいうと
普通の図書館は
昼間の図書館
17時以降は
本屋が夜の図書館となる
だいたい毎日通って
閉店までずーっと立ち読みしていたので
ちょっとした名物となっていて
行くといつもイスを出してもらえた
気になる本は片っぱしから読みまくった
頭の中はいつも
誰にも見せられないくらい
ぐちゃぐちゃだった
土日になると
いつも本を読ませてくれるのが悪いからと
おかあさんと本屋に行く
ふたりで行く
本ならなんでも買ってくれた
帰りに
エスカレーターのてすりを
滑り降りるのがきもちよかった
その後は
明治屋でカフェオレのソフトクリームを買って
ふたりで食べる
わたしは上のソフト
おかあさんは
下のコーンのところ
ふたりでわける
その30分間で
わたしの寂しさは帳消しになる
友達がみんな家に帰って
わたしだけのひみつの時間
それは
たまに長すぎて
本屋の本を
全部読みつくせるんじゃないかと思った
でも
ガチャって鍵が開いた瞬間に
ぜんぶ帳消しになる
今日は雨でビショビショになった
スカートを駅のホームで絞った
ひとつに結んだ髪も絞った
なぜか全く濡れていないおじさんが
わたしを見つめていた
おしまい